お骨にこもる想い

今日は昨日の続きでご葬儀を務めました。高槻市の市営斎場は式場棟と火葬棟が並んでいます。告別式が終わればすぐに火葬棟に移動できます。ご遺体を火葬することを品よく言うと「荼毘に付す」となります。もともとはパーリ語ジャーペーティという言葉の音を写したものです。意味としてはずばり、死骸を火葬にすることです。
仏教が伝わったころの中国ではそれまで土葬が中心でした。儒教的倫理観が強く遺体を傷つける火葬は不孝だとして受け入れられにくかったようです。有名な高僧ですら荼毘に付されたという記録の残っていないことが多いようです。西遊記で有名な玄奘も荼毘に付されたという記録はないそうです。しかし時代が下るに従い火葬の風習は受け入れられるようになりました。それに伴って火葬の後に残る骨に対して人々のいろいろな思いが込められるようになり、灰身塔（かいしんとう）というものも作られるようになりました。もともとのインドにも仏舎利塔があるのと同様です。
荼毘の後の骨はもはやただのものにすぎないのは分かっているのですが、残された人々にとってはそこに万感の思いが込められています。荼毘に付すとはそういうことなのでしょう。