後生の一大事とはどういう意味か

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後生の一大事とはどういう意味か

住職ブログ

2018/12/11 後生の一大事とはどういう意味か

今日お参りしていますと、お家の方から「後生の一大事の後生とはどういうことですか」と問いかけられました。

蓮如上人の書かれた御文には「後生の一大事」という言葉が何度か出てきます。有名な白骨の御文にも「後生の一大事を深く心にかけて、念仏申すべき」という一節があります。
後生とは今生(こんじょう)つまり現世に対しての言葉で「後世(ごせ)」とも言います。この言葉を聞くと多くの人は「死んだ後のこと」を指すと思われるでしょう。
現代人は死をすべての終わりとしてとらえ「死んだら終わり」と思っています。そのような人にとって後生とはくらい真っ暗な世界でしょう。また逆にこの世でいいことをした人は死んだら何か素晴らしい世界に生まれ変わるという考え方もあるでしょう。
しかし蓮如聖人のおっしゃった「後生」というのは私たちが死後に帰っていく場所のようなものです。よく人生を旅に例えることがありますが、旅が終われば私たちは家に帰ります。旅行の途中では珍しいものを見たりおいしいものを食べたり、楽しく過ごしますがこれも帰る家があるから安心して楽しめるのです。帰る家がなければ安心して旅ができません。
「後生の一大事」というのは自分帰る場所をはっきりさせなさい、ということです。帰る場所がはっきりすれば精一杯、今を楽しむことができます。
人生というたびは必ず終わります。しかもいつ終わるのかは自分でもわかりません。後生は今この瞬間かもしれないのです。
私たちは、まだまだ後があると思って生きています。このことを「有後心(うごしん)」といいます。後があると思っているから、今を生きる姿勢が生ぬるくなっているのでしょう。今生きていることと、死が足元にいつもあることを自覚するとき、生きていることのすばらしさに目覚め、私たちの命が生き生きと輝きます。
私たちは逃れることのできない「生老病死」を抱えて生きていますが、帰るべき場所をはっきりさせることで本当の「現在の生」を大切に生きることができるのでしょう。

 

 

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