浄土真宗の教えで幸せってどういうことでしょう －５　不安の種

ゴーダマはこの課題を解決するために出家し、その答えを見つけてお釈迦様となりました。“釈迦”というのはめざめた人という意味です。お釈迦さまが見つけられた答えとは「人間は自分自身に深くとらえられている」ということです。
私たちは自分のことをわかったつもりでいますが、本当はわかっていないのです。私たちは長い時間の流れの中で生きていますが、私の知っている時間などわずかなものです。もっと身近なことで言えば自分の生まれた時のことを覚えている人などいません。この世はわからないことで満ちているのにわかった気になっているだけなのです。わかった気になっているからわからないことに出遇うと不安になります。「私」というものは私がいるから成り立っていると思っていますが、本当は計り知れない多くのもののおかげで「私」が成り立っている。
そんな私たちの小さな頭で考えてもわかるはずもないことをわかったつもりになっているから不安になるとお釈迦様は私たちに教えて下さているのです。
人間は考えて生まれてきたのではないのに今の私は考え中心に生きている。ほんとうは自分の考えは生まれた後から自分勝手にくっつかただけだということに気が付かないから不安になるのです。本末転倒、逆さまになっている。動物や植物のようにただ生きることができないで、損得、上下、善悪と頭の中で計算していることこそが不安の原因だ、とおっしゃっているのです。