今年の花まつりは少し寂しい

4月8日は花まつり、お釈迦様のお誕生をお祝いする日です。灌仏会（かんぶつえ）のほか、降誕会（ごうたんえ）、仏生会（ぶっしょうえ）、浴仏会（よくぶつえ）、龍華会（りゅうげえ）、花会式（はなえしき）などといった呼び方もあります。例年ですとこの日付近で本堂でおつとめをし法話をいただくのですが、今年はコロナウイルスの感染予防のため法要はいたしません。せめてものこととして本堂の前に花御堂をしつらえました。朝から何人かの方が足を止めて手を合わせていかれています。

お釈迦様がいつお生まれになったのかははっきりとしていません。はっきりと記録した資料もありませんし暦法も当時と今とでは異なっていますが、広くこの日がお釈迦様がお生まれになった日とされています。お釈迦様はお生まれになるとすぐ七歩歩まれて天と地を指さし「天上天下唯我独尊」とおっしゃられたと伝えられています。この言葉はしばしば「自分が一番偉い」といった意味で使われますがそれは正しくありません。「唯我独尊」の「我」は自分一人という意味ではなく私たちすべてのことです。この世界の中にいるすべての人は一人一人が尊い存在であるということです。この世界に必要のない人など一人もいない、すべての人が等しく尊い存在であるという宣言です。自分を大事にしない人には他者を大事にすることはできません。同時に他人と大事にしない人は自分も大事にしない人です。すべての人はみな等しく対戦綱存在だという平等間の上に仏教は成り立っているのです。