11月の空と無明

自坊の報恩講も終わり、少し落ち着きました。11月に入ってから好天が続き過ごしやすい季節になりました。しかし今年も東日本を中心に台風の被害が出ました。昨年は西日本で大きな被害が出るなどこのところ毎年のように日本は自然災害の被害を被っています。高槻市も例外ではなく昨年の台風、地震によって受けた傷はまだ言えたとは言えません。
台風の場合は予想が逐次報道されます。それを見て「今回は私のところには被害はないようだ」と安心してしまうのが人間の性です。自分のところは大丈夫の裏には、他所に言ってよかったという思いがあります。どうしても自分可愛さが出てしまうのです。人間は過去を振り返り、未来を予想して一喜一憂します。また、他人と自分を引き比べ優越感を覚えたり劣等感に苛まれたりします。過去や未来を考えたり自分の観念の中で悲喜こもごもにもがいており、私たちが本当に生きている、今この瞬間に生きることができないのです。このことを指して仏教では「無明」といいます。
この無明に気づき今を生きることの大切さを説いているのが仏教です。
色々な思いに振り回されて生きている私たちですが、そのことに気が付いて生きるのと気が付かずに過ごすのとでは大きな違いです。
本当に今を生きる生き方を選び取りたいものです。