「通達」は覚り

仏道に深く通じていることを「通達（つうだつ）」といいます。一般に通達というとお役所などから回ってくるお知らせというくらいの意味ですが、仏教では「覚り」といった意味合いです。悟りというと現実離れしたたいそうなものに聞こえますが、しかし、様々な思い込みから解き放たれた、物事や現実をしっかりと見通す智慧ということです。私たちは心の底では自分のものの見方や判断は間違っていないという思いがあります。また、そのように思わないと毎日の生活がやっていけなのも事実です。ところが、良かれと思ってやってきた事柄が、色々な問題の原因になっていきます。それは本当に何が大切かを見通すことができないからです。進歩、向上といって効率や利益を追求しているのが現代ではないでしょうか。
自分は間違っていいないという思い込み、より便利に、より豊かにという思い込み。この思い込みこそが私たちを苦しめる根本なのです。そのことを仏教では「通達」という言葉で伝えようとしています。