「開発」と満足

今、私たちの周りにあるスマートフォンやインターネット、消費税増税の際に大きな話題になったキャッシュレス決済などの様々な科学技術の成果には目を見張るものがあります。一昔前から考えるとまるで魔法のような便利さがあふれています。私たちはその恩恵を受けて便利な生活ができるようになりました。その一方で、電気が止まってしまうと途端に何もできない生活を送っているとも言えます。先ごろの台風にかかわる豪雨による停電などでもわかるようにと死の生活は電気が止まってしまうと途端に窮地になります。また科学技術の開発は一方で自然破壊や公害につながり、医学の分野では遺伝子の操作が今後どのような影響があるかが十分に議論されているか心配な面が多くあります。「開発」とは本来、如来を信じる心が起こること、真実の智慧が起こることなどを指す仏教用語で「かいほつ」と読みます。人生においてすべてが無駄ではないこと、十分満足なものであることに気が付く智慧が起こることが「かいほつ」です。私たちは科学技術の開発によって閑居が整備され、お釈迦様の時代よりもずっと便利で豊かな生活をしているように見えますが、その一方で常に満たされないものを抱えてききています。「かいはつ」と「かいほつ」、果たして本当に大事なのはどちらでしょうか。