即位礼正殿の儀に思うこと。わが身の事実を受け止める。(2)

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即位礼正殿の儀に思うこと。わが身の事実を受け止める。(2)

住職ブログ

2019/10/24 即位礼正殿の儀に思うこと。わが身の事実を受け止める。(2)

今の人間は、人生を主体的に生きる・自分が納得した生き方をするということを大事にしますが、しかし、一番根っこの部分は与えられた事実ということです。私が納得する市内を超えて与えられていた事実です。そして、その事実以外には、私の生きている事実はありません。生まれ変わってやりなおしはないのです。そういう深いうなずきを仏教では「宿業(しゅくごう)」という言葉で呼びます。私の選んだ覚えのない事実を、私の命として生きていかねばならないのが私たちです。私たちが、本当に自分を大切に、主体的に生きるということは、質はその事実を受け止めたところから出発しています。
「宿業」と聞くと何か決められたうっめいのレールを歩いていくように思うかもしれませんが、そうではありません。私の命の事実、変わりようのないわが身を受け止めていく責任感です。私は私の命に責任をもっていかなければならない。その責任を拒否するならば、私は何者でもなく生きていくことになる。ないものでもなく生きていくということは、生きていても生きていなかったと同じということです。
選んでこの場にいるのではない、気が付いたら自分ではいくら考えてもわからない何かによってこの場にいる。それなら主体性も何もないのかというと、決してそうではない。実はそこに主体性がある、その事実を「これが私だ」と受けて立ち上がる。その事実を私の命の事実として受けて、このほかには自分はないと、受け止めて立ち上がる。そこに初めて、主体性ということがある。主体性というのは自分のわがままを突き通すことではありません。主体性というのは、どこまでも事実を受け止めて、その事実を担って生きることなんだということです。

 

 

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