即位礼正殿の儀に思うこと。わが身の事実を受け止める。

昨日は「即位礼正殿の儀」が行われました。テレビは軒並みその様子を伝えていましたが、実際の儀式はほとんどカメラが入ることができないので解説者の説明でしかその様子を知ることができなかったのが残念です。長時間にわたって、また国の内外から注目されながら様々な儀式をこなされる天皇・皇后両陛下をはじめとする後続の方々は本当に大変なことだと思います。
皇族の方々は生まれたときから皇族としての人生を義務付けられているわけですから、私たちには想像できないような思いがあるのではないかと思います。皇族以外にも世襲制を基本とする世界に生まれた方々は自分の人生を、ある意味では決められているという点では同じような思いがあるのではないかと思います。浄土真宗も世襲制を基本としていますのでお寺で生まれたものは、いずれはお寺を継ぐのだ、と思って成長しますが、最近では世襲が絶対ではなくなってきています。是三寺も例外ではなく、先代の長男はお寺を継がず、逆に私は結婚を機に僧職に着きました。人生はいつどうなるかわからないということです。
しかし考えてみますと、私たちは生まれてくる際に自分の生まれる場所や親を自由に選べるわけではありません。生まれてくるということはいろいろな事実を引き受けるということです。生まれる前に地図を見て検討したうえで、日本に生まれようなどという話は聞いたことがありません。この親の家ならよかろうということも、男にしよう、あるいは女にしようということも選べません。生まれてみたら、今ある自分であった。そして生まれた瞬間から、色々な役割を背負わされるわけです。日本に生まれたら日本人として、男性に生まれたら男性として周りから扱われます。〇〇家の一員として、長男や次女やということになります。いくら「俺の知ったことか」といってみても通りません。生きていく上で、それが一生続くような私を決めていくような根っこの問題ほど、全然納得しないままに押し付けられていたということになります。納得したことなど一つもありません。（続きます。）