「利益（りやく）」は生きる喜び

「利益」という言葉は仏教用語とせいては「りやく」と読みます。一方現在一般的に使う時には「りえき」と読むことの方が多いでしょう。人は絶えず利益（りえき）を求めて生きています。現在の社会は利益追求第一の世界だといってよいでしょう様々な関係性が利害という基準をもとに形作られています。
宗教においても、祈りに応じて様々な欲求を満たし恵みをもたらしてくれるものを宗教と考える人々が多くいます。家内安全、息災延命、商売繁盛などを祈りそれをもたらしてくれるものが良い宗教であり、そのために手を合わせ、寄進をするというのが多くの人の宗教に対する考え方ではないでしょうか。
しかし、仏の教えによって得られる「利益（りやく）」は金銭上や物質上の利益（りえき）ではなく、自らのいのちに目覚めて生きる喜びを得ることにほかなりません。
教えの持つ本当の利益とは仏の教えに出遇い、教えに導かれて育てられていく、命の尊さに目覚めて生きるものとなることです。一人ひとりが本願に目覚め、自らの命の尊さに目覚めて生きるものとなることが最も大切なことです。
釈尊が誕生したとき、７歩歩まれて「天上天下唯我独尊」と叫ばれたといわれています。それは、世の中で自分が最も尊い、ということではなくそれぞれのいのちこそが最も尊いということに他ならないのです。