浄土真宗の他力の生活

浄土真宗は他力の生活が解かれる教えです。他力というと「他力本願」という言葉が思い浮かぶのではないでしょうか。一般に他力本願というと、自分では何もせずに、人の力や偶然の力を当てにして生きていることのように思われています。いうなればナマケモノの生活を意味するように使われて、他力本願でではだめだ、やはり自力を尽くさねばというように使われます。けれども他力ということは、決してそういうことではありません。
私何かができることが当たり前ではないということ、努力できることがどんなにありがたいことなのか、どんなに深いおかげかということに気づく生き方です。普段当たり前にできていることが、加齢のため、病気やけがのためできなくなってくる。その時初めて当たり前が当たり前でないということに気づきます。当たり前と思っていたことが、実はありがたいことだと気づくのは、多くはそれをなくしたときです。努力できるということはそれができる縁が与えられているからです。努力しようと思って歯を食いしばってみても、できなくなればやりようもないのです。
そのように、自分が何かできることのありがたさ、そのありがたさを深く感じ取るところから始まる生活が、他力の生活です。