「仏教に学ぶ」と「仏教を学ぶ」

「仏教に学ぶ」という言い方はちょっと変に聞こえます。通常のいい方なら「仏教を学ぶ」ですね。
「仏教を学ぶ」といった場合は自分が仏教の勉強をして知識を得ることです。文字通り、学ぶことの目的が仏教であるということです。では、「仏教に学ぶ」とは、仏教に何を学ぶのでしょう。
鏡というものを考えてみてください。私たちは「鏡を見る」といいます。朝顔を洗う時、お化粧をするとき、出かける前にもう一度、一日に何回も鏡を見ます。でも、私たちが鏡を見るのは鏡を見たいからでしょうか。この鏡はどんな形で、何でできているのかということが気になって鏡を見ている人はあまりいないでしょう。私たちが鏡を見るのは、鏡に映った自分の姿を見るためです。人の目は外を見ることはできますが、自分自身を見ることはできません。だから鏡に映して自分の姿を見るのです。
「仏教に学ぶ」といったときは、仏教の言葉を通して、自分自身の在り方を学ぶのです。
「自分のことは自分が一番知っている」と皆思っていますが、実は自分を一番知らないのが自分自身です。自分自身のことは客観的にみることはできないのです。だから仏教の言葉から自分の姿を教えてもらうのです。
「仏教に学ぶ」とは、「私」が仏様に照らし出されて、私が「私」に出会い深く知っていく営みです。