邪魔者は身の内に。

邪魔
よそのお宅を訪れた際に「おじゃまします」とお声がけすることがあります。漢字で書くと「お邪魔します」となります。「邪な魔」と書きます。邪魔とは悪魔のことなんですね。玄関先で悪魔と名乗っているのも不思議な話です。自分の周りにも「邪魔なもの」や「邪魔な人」がたくさんあって困っているなんてことはありませんか。
「邪魔」はお釈迦様が修行をして得いるときに現れて修行を妨げた悪魔のことです。この悪魔はどこからかやって来たのではなく、お釈迦様の心の中に潜んでいるいろいろな煩悩のことです。お釈迦様でさえ自分の煩悩には本当に悩まされたということでしょう。お釈迦様は人間の無常を憂いて修行生活に入りましたが、いかに厳しい修行をしても煩悩から逃れることはできませんでした。六年間の修行ののちそのような生活を棄てて、菩提樹の下に座り自分の心を見つめることで、人間の苦悩の原因である心の闇（無明）を打ち破り悟りを得られました。
親鸞聖人はお釈迦さまの教えを「無明の闇を打ち破る智慧の光」とおっしゃいました。
「邪魔」とは外からやってくるものではなく、自分のうちからやってくるものです。「邪魔なもの」や「邪魔な人」を作りだしているのは私たちの暗い心です。真実の教え、浄土真宗を聞くことで私たちは「邪魔」から自由になることができるのです。