「世界」は仏教の言葉。一人に一つの世界。

世界
「世界」という言葉はを日本語に訳するときに、たとえば英語の「WORLD」に対して当てられ、私たちになじみのものとなっていますが、実は外国語のh翻訳として使われるずっと以前から仏教の言葉として使われてきました。古代インドでは想像上の須弥山という巨大な山を中心とした宇宙観に従って世界というものを考えていました。一般的には私たちが暮らしている大きな場所が世界と考えますが、仏教ではひとりひとりの人間にそれぞれ世界がある、と考えます。宗教的には、一人ひとりに世界があるということです。そこでは自我というものを中心としてそのまわりのものはすべて自分のものという思いに固まっています。自分に関係の深いものは近くに置き、関係の薄いものは遠くに置くという自我の都合で持って暮らしています。現代の人間の生活はまさに身の回りに自分の都合のいいものを集めその中に閉じこもって生きているのではないでしょうか。自分にとってはこの世界がすべてですが、すべての人が自分の世界を持っていると考えると、この世には無数の世界が重なり合っているといえます。
自分の世界に閉じこもって生きるのではなく、もっと広い世界が外にあると気づかせてくれるのが仏教の智慧です。自分の殻から外に出た時そこには無限に広い世界が広がっています。