大晦日の除夜の鐘と煩悩。

是三寺

072-675-1790

〒569-0051 大阪府高槻市八幡町9-23

大晦日の除夜の鐘と煩悩。

住職ブログ

2018/12/14 大晦日の除夜の鐘と煩悩。

大晦日の風物詩といえば除夜の鐘ではないでしょうか。毎年NHK紅白歌合戦が終わると、ゆく年くる年が始まり日本中の多くの場所で鐘を突く様子を放送します。
是三寺には鐘楼がないので大晦日は静かですが、近隣のお寺では大晦日の12時前になると住職や参拝者が鐘を突くところもあります。
鐘を突く回数は108回ということになっています。これは人間の煩悩の数と説明されることが一般的ですね。なぜ108回かという説明はいろいろあります。1年の“12”カ月と“24”節気。24節気を初候、次候、末候それぞれに分けて“24×3=72”。これらを合わせて“12+24+72=108”としたり、四苦八苦を“しく…4×9=36”、“はっく…8×9=72”で合わせて108としたりします。ほんとうのところは数自体に意味はなく、とても多いという意味で使っているのではないでしょうか。
煩悩というものは本当に多いです。無限といっていいかもしれません。辞書を引いてみると「私の身を煩わせ、私の心を悩ませる、私の心の働き」とか「人間の心身の苦しみを生み出す精神のはたらき」などと説明しています。私を苦しめるものは、私自身の中にあるということです。
それにもかかわらず、私たちは苦しみのもとを外に求めます。「あれさえなかったらうまくいくのに」とか「うまくいかないのはあいつのせいだ」という風にです。
煩悩というのは執着から生まれます。つまり、自分の考えが正しいと思い込み、何でも自分の思い通りにしたいという心が自分を苦しめているのです。
しかも私たち自身ではこのことになかなか気づくことができません。ちょうど自分の目で自分を見ることが出いないように、自分の考えを自分から間違っているとは考えないからです。かといって他人から間違いを指摘されても素直に聞き入れられないのが私たちです。
そのような私の姿を映す鏡ものが仏様の言葉です。仏様の言葉に耳を傾けることができたならば、煩悩に振り回されて生きている自分の姿が見えてきます。
自分の考えに固執しているときには、周りの本当の姿が見えず、大切なものを見失ってしまします。幸せの中にあってもその幸せを感じることができなくなります。
私たちは生きている限り、煩悩を消すことはできませんが煩悩に満ちている自分の姿に気づくことだできれば、煩悩でさえ自分自身を見つめなおすようはたらきになっていくのです。
大晦日の鐘も、煩悩を払うのではなく自分の煩悩に出遇うきっかけとしたいものです。

 

 

是三寺
電話番号 072-675-1790
住所 〒569-0051 大阪府高槻市八幡町9-23

TOP