孤独の壁と取り払う

昨今は自己責任という言葉がよく聞かれます。自己責任につながる意味で自業自得という言い方もよく言われます。一般には自分の失敗は自分のせいだというところでしょうか。仏教では私たちの苦や楽の原因は外にあるのではなく、自らのうちにあるということになります。真宗の八高僧の中の曇鸞大師は私たちのありさまを蚕にたとえておられます。蚕は蛹になる時期が来ると自分の身を守るために口から糸を出して繭を作り始めます。自分を守ろうと糸を吐き繭が出来上がってみると、結局他の世界から遮断された自分だけの孤独な世界にあるということに気が付きます。これは、私たちが他人の中で自己を主張し自分を守ろうとすると結局、孤独の中に沈むしかないということを例えています。孤独の原因は、自分以外のところにあるのではなくて自分が壁を作ってしまったからです。世の中を生きる上で自分を主張しないわけにはいきませんが、それが生み出す結果にも目を向けることが大事です。壁を払ったその先には広い世界が広がっていることを仏教は教えているのです。