施設・「しせつ」と「せせつ」

公共施設や娯楽施設といった多くの人々が利用する建物を「施設」といいます。仏教では同じ字を「せせつ」と読み表します。その意味は実在しないものを仮にあると設定することです。「施設（せせつ」の反対は「実物（じつもつ）」といい、本当のもの、本来のものということです。人間はいろいろなものを絶対的にあるものとして考えます。そのことを仏教では無明といい真実に気が付かない状態であると教えます。
また禅宗では、師家（しけ・師匠といった意味）が修行僧を導く手段として用いるものを「施設（せせつ）」といいます。現代の施設はこのよう方からきているのでしょう。
病院や官公庁なのどの立派な施設が充実しているのはよいことですが、それはあくまでも手段であり、器にすぎません。それを使う私たちがいかに生きるかが本当に大切なことです。
「施設依存」ともいえるような現代の在り方に今一度反省が必要ではないでしょうか。