葬儀で「ご冥福」は正しいの？

ご葬儀の際に「ご冥福をお祈りします」とおっしゃる方がいらっしゃいます。その方は特に意味を考えているというわけではなく、慣用的におっしゃっているだけなのでしょう。冥福の『冥』と梯子の世界を言う言葉です。ですから冥福を祈る、と梯子の世界での幸せを祈る、という意味でしょう。一方、仏教時点では冥・冥界・冥土とは「死後の幽冥の世界をいう。六道（地獄・餓鬼・畜生・修羅・天・人）の中の三悪道（地獄・餓鬼・畜生）、特に地獄に通ずる」とあります。中国から日本に鎌倉時代に伝わった俗信における死後の世界観です。亡くなった方はみな地獄に行くのでしょうか？「冥福を祈る」というからには、その方が地獄に行かれたといっているのと同じです。
浄土真宗ではすべての人の救済を解いています。人はすべて阿弥陀如来の本願によって阿弥陀の浄土にあるのですから、冥福を祈る必要はないのです。ご門徒の皆さんは「冥福を祈る」という言葉は差し控えたほうがよいでしょう。