さるべき業縁のもよおせば

己が身をひきくらべて、殺してはならぬ、殺さしめてはならぬ。」と釈尊は語られています。「殺してはならぬ」は誰でも言いますが「殺さしめてはならぬ」ということはより重要です。私たちはまさか自分が人を殺すようなことはしないと思っています。しかし、歎異抄には「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」とあります。「しかるべき業縁にうながされるならば、どんな行いもするであろう」という意味です。人間はそうせざるを得ないような状況になれば、どのようなふるまいでもするものである、という深い人間の在り方を言い表した言葉です。自分の命を守るためには相手の命を奪わなければいけ内容の状況では何が正しい行動かということは誰にも言えないことです。そのような状況にならないといことが大切なことです。人は決して一人では生きていけません。同時に他人が集めれば必ずお互いの中にいろいろな違いが現れます。違いを認めない世界は争いの世界です。違いを認め合いお互いがわかるまで話ある世界を目指すべきです。