親鸞聖人は浄土を求める心を「願生心」と呼びました。

私たちの世界はこれからもどんどん便利になっていくでしょう。それが正しいことだと信じてだれも疑いません。しかし、正しいと思っていることをうたがうのが難しいように、自分で自分を見つめなおすことはできません。そしてこの私たちの「もっともっと」という気持ちが、なぜ私たちに起こるのかなどということは私たち自身にはわかりません。それを教えてくれるのが、お釈迦様の言葉、仏教です。
人間の思いは毎日変わります。「快」「不快」がなんであるかも日々変わります。けれども私たちが訳も分からず次々と求める心だけは変わりません。それは一体なぜなのか。その心は一体何なのか。仏教ではそれは「本当に欲しいものがわからない」ということだと教えれくれます。
何と手に入れても結局は満足できないということは、自分が手にしたものと、本当に欲しいものが違っているからです。まったく次元の違うものを探しているのに気が付かず見当違いのものを手にしているから何を手に入れても欲望は満足できないのです。現実にな野を持ってきても埋まらない不足感が人間には本来備わっているのです。自分が思っている自分よりはるかに深い思いがあるということです。
その何かを求める心こそが「宗教心」というものです。その心を親鸞聖人は「浄土を求める心」「世間を出ていきたい心」すなまち「願生心」だとおっしゃっているのです。