浄土真宗は聴聞に極まれり

「聴聞」という言葉はあまり日常会話では使わない言葉です。法律用語にも聴聞という言葉はありますがこちらは「行政機関が特定の行政行為をする場合に利害関係者の意見を聞くこと」です。
一方で仏法を聞くことを聴聞と言います。蓮如上人は「仏法はただ聴聞に極まれり」とおっしゃいました。浄土真宗では聴聞ということを大切にします。漢字を見ますと「聴」も「聞」も訓読みでは「きく」ですが意味は少し違います。「聴」は自分から聴きにいくという意味です。それに対して「聞」は聞こえてくるという意味です。浄土真宗では阿弥陀様からたまわったおはたらきを「他力」といい、人はこの「他力本願」によって救われていくといわれます。その意味では「聴く」は自力の行ですから退けられることになります。しかしまず「聴く」ことがないと「聞こえて」来ることもありません。「他力本願」というと何もしないでただ待っているように聞こえますがそうではありません。やはり自分から「聴きに」行かなければ始まりません。そして「聴聞」を続けているとやがて仏法が「聞こえて」来ます。その時初めて、「聴きに」行くという自分の行為も阿弥陀のはたらきだったと気が付くのです。