有頂天。最も深い迷い。

有頂天
得意の絶頂、最高に幸せとなっている状態を「有頂天になっている」と言います。人生における最高の瞬間ということですが、実は仏教では最高の迷いの状態を言います。
仏教では迷いの世界を六つに分けて六道と呼びます。天・人・修羅・畜生・餓鬼・地獄の六つです。人間も迷いの世界の一つです。同様に天も迷いの世界なのです。天の世界もいくつかに分かれていてそれぞれに名前がついています。その中で最高の場所が非想非非想処天（ひそうひひそうじょてん）と言い、最高の境地です。ですからこの天は頂点にある天という意味で「有頂天」と呼ばれます。そんな最高の世界がなぜもっとも迷った状態なのでしょうか。「有頂天」の世界はすべての願いが思い通りになる世界です。そこでは自分一人が高いところにのぼり、何物にも関わらずただ一人安心を得いる世界なのです。その生き方は現在の私たちにも通じるものがあります。いろいろな便利なものにかこまれて、問題にかかわることをせず、いやなものは見ない、聞かない、言わないと傍観者を決めこむような生き方を指定名でしょうか。