涅槃と煩悩

涅槃会について少し書きましたが、この涅槃とはどういうことでしょうか。
私たちのこころにはいつも百八の煩悩がいつも働いているといわれています。
その代表的なものを「三毒」と言います。それは、貪欲（とんよく・欲望を抱くこと）、瞋恚（しんに・憎み怒ること）、愚癡（ぐち・道理に無知なこと）の三つです。
私たちは自分のために良かれと思いいろいろな利益を追いかけます。そしてそのために自分の思い通りに周りを動かそうとします。しかしなかなかうまく行かずそのことが私たちを苦しめます。その欲望が煩悩であり自分を苦しめているものを、実は自分で作りだしていることに気が付きません。まことに道理に無知だということです。
お釈迦様は、私たちを苦しめる根本は煩悩にあると示しそこから解放される道を教えられたのです。そして煩悩から解放された状態を「涅槃」と言われました。
このように涅槃とは煩悩から解放された状態を言いうのですが、一方で煩悩を消し去ることは容易なことではありません。まったく欲望を持たないということは何もしないということです。つまり「死」んだ時にしか実現しません。そのことから涅槃＝死と理解され人が亡くなることを「涅槃に入る」とか「入滅」というようになりました。