真宗の法要では位牌はありません。

ご葬儀に際して浄土真宗でも白木の位牌を用意しますが、七七日の法要ののち、黒塗りの位牌、いわゆる本位牌は用いません。
本来は葬儀に際しても法名軸を用意するものだと思いますが、すぐには用意できませんから仮のものとして白木の位牌を用意します。
位牌という字を見ても、「位」は位を表します。「牌」を辞書で引くと「功績をたたえたり記念したりするための金属または木の板。メダル、盾の類」とあります。
つまり位牌は亡くなった方の位を表すためのものということになります。真宗では亡くなった人は等しく浄土に生まれみな同胞として接しますから位というものはありません。それは生きている私たちも同じことで、親鸞聖人はご門徒に対し「御同朋、御同行（おんどうほう、おんどうぎょう）」と呼び掛けてくださいます。決して上からではなく同じ目の高さから話しかけてくださる方だったのでしょう。
同朋・同行とは仲間・友達といったいみですので御同朋・御同行とは「お仲間・お友達」といったところでしょう。
なんだかもったいない気もしますが、阿弥陀仏の本願の前ではどんな人も平等の仲間であり友達だ、ということです。
ですから、位を表す位牌というものは真宗の教えにはそぐわないものなのです。
真宗では、七七日の法要が終わりましたら、個人の法名とお名前を過去帳に記し、その後の法要をお勤めします。