帰敬式を受式し法名をいただく

帰敬式を受式しますと、法名をいただきます。一般的に法名とは亡くなられたときにつけるように理解されていますが、本来は仏の教えに生きるものとしての名乗りですから、生前にいただくものです。法名は「釋〇〇」という形式で付けられます。「釋」は釈尊の釋で、仏弟子を表します。女性の場合は「釋尼」と「尼」の文字が入ります。親鸞聖人は法名の「釋」について「釋というは、釈尊の御弟子とあらわすことばなり」と述べられています。また真宗大谷派では法名を軸装し、お内仏の右側面におかけします。左側面には代々の法名を記載する法名軸をおかけします。近年は法名軸の代わりにおり本式になった過去帳（法名帳）を置く場合が多くなっています。お内仏に法名を置くということは、単に先祖供養のためではありません。先祖供養をするという大切な習わしの中に先立って行かれた方々の生涯を仏弟子の生涯として讃嘆し、私自身の人生を振り返っていくということが重要なことです。そのことがいろいろな仏事を行う意味なのです。
年忌法要を務める際はそこに集う人々が、亡き人から問いかけられ、改めてわが身の事実と向き合い、自分自身と出遇い、念仏の教えに着きる人として誕生する機縁となることが願われているのです。